相続不動産を放置するリスク

相続登記を行わない6つのリスク
相続不動産を放置するということは、相続登記を行わずに放置することを意味します。
相続登記を行わずに放置するリスクについて解説します。
過料が課せられる可能性がある
相続登記を行わないリスクとして、相続登記の義務化にともない、過料が課せられる可能性があることが挙げられます。
期限内に正当な理由なく、相続登記を行わない場合は、10万円以下の過料に処せられます。
なお、相続登記の義務化は2024年4月1日に施行されましたが、それ以前の相続不動産も対象です。
また、相続登記の期限は、自分が相続人であること、かつ不動産を相続することを知ったときから3年以内ですが、相続人の確定に時間がかかるなどの理由で間に合わないケースも考えられます。
相続人申告登記制度を活用すれば、相続登記の義務を履行したものとみなされます。
相続した不動産を売却できない
不動産を相続して実際の所有権が相続人に移っていても、相続登記を行っていない場合は売却できません。
売却するためには、登記簿の名義を自身の名義に変更しておく必要があります。
相続登記を行っていないと法的に所有権を主張できないため、売却手続きがスムーズに進まない可能性が高いでしょう。
権利関係が複雑になる
相続登記をせずに長期間放置した場合は、知らない間に相続人の数が増えて権利関係が複雑になる可能性があります。
たとえば、相続登記をせずに相続人のうちの誰かが亡くなった場合は、次の遺産相続が開始され、相続人の数が増えることになります。
相続人同士で面識がない場合や相続人の連絡先が分からない場合は、遺産分割協議を行うことさえ困難になるでしょう。
とくに複数人で不動産を相続する際に相続登記をしない場合は、権利関係が複雑化するリスクが高いといえます。
子や孫に迷惑がかかる
相続登記をせずに放置すると、将来子や孫に迷惑が掛かることになります。
先述のとおり、相続登記をせずに時間が経つほど権利関係が複雑になる可能性が高いです。
自身が亡くなって子や孫に相続するときは、かなりの時間が経過していると考えられるため、相続人の数がさらに増えて権利関係もより複雑化していることが予想されます。
相続登記をせずに放置することは、子や孫に迷惑をかける結果となります。
不動産を差押えされるリスクがある
相続人の中に借金をしている人がいた場合には、不動産が差し押さえられる可能性もあります。
相続人の債権者は、「代位登記」という手続きによって、相続人である債務者の持分を差し押さえることが可能です。
また、相続人は自身の持分を売買できるため、相続登記をしないで放置している間に相続人ではない第三者が権利関係に入ってくるリスクもあります。
相続人が認知症になった場合は遺産分割協議が難航する
相続登記をせずに放置している間に相続人が認知症になってしまう可能性があります。
相続人が認知症になった場合は判断能力や意思能力が不十分とみなされ、法律行為を制限されてしまうため、遺産分割協議が難航してしまうでしょう。
認知症になった人は自分で判断できないため、遺産分割協議は成年後見人が代理で行います。
成年後見人とは認知症などによって判断能力がない人の財産管理などをするため、家庭裁判所によって選任される人のことです。
遺産分割協議に第三者が参加することになるため、話し合いは難航する可能性があるでしょう。
相続不動産が空き家である場合に放置するリスク
相続した空き家を放置すると、以下のようなリスクが生じます。
固定資産税が最大6倍になるリスクがある
相続した空き家を放置するリスクとして、負担する固定資産税が最大6倍になるリスクがあることが挙げられます。
生前に被相続人が住んでいた自宅であれば、住宅用地の特例によって土地の固定資産税が軽減されています。
参照元:固定資産税の住宅用地特例について
しかし、空き家を放置した際は自治体から特定空き家に指定される可能性があり、指定された場合は住宅用地の特例の対象外となるため、固定資産税が最大6倍になってしまうのです。
特定空き家とはそのまま放置すれば倒壊などの恐れがある空き家のことで、自治体から指定されます。
また、特定空き家に指定されないために建物を解体しても、住宅用地の特例の対象外となるため、固定資産税が最大6倍になります。
資産価値が低くなる
相続した空き家を放置すると、資産価値が低くなるリスクもあります。
誰も住んでいない住宅は通風や通水がされないため、劣化が早くなります。
建物の劣化が早くなると構造部分や住宅設備にも支障をきたす恐れもあるため、資産価値が低くなるでしょう。
近隣住民とトラブルになる可能性がある
相続した空き家を放置した場合は、近隣住民とトラブルになる可能性があります。
外から見て空き家だと判断される建物は放火をされたり、ゴミの不法投棄場所にされたりといったリスクがあります。
伸びきった雑草や植栽が隣地に越境する可能性もあり、害虫や害獣が発生する可能性もあるでしょう。
結果として、近隣に迷惑をかけることになり、トラブルに発展する可能性があります。